2019.01.27
現役選手であり彼ほどの実績があり影響力がある選手が、これほどの発言をしなきゃいけないほど野球界は追い込まれていると思うべきである。「土俵の真ん中で相撲をとる」という言葉がある様に、土俵際に追い込まれてからではもう手遅れになる。
とにかく競技人口の減少が物凄いスピードで進んでいる。根本的な少子化問題もあるが、それ以上に野球をする環境がなくなっていることや、罵声を浴びせるなどの指導現場に対する不満、お茶当番など親の手間がかかることへの不満など、他のスポーツの習い事に比べて不満が多い点が根本要因なのだろう。
また少年野球の試合では「フォアボール」や「エラー」や「盗塁」「パスボール」など、ミスと言われるプレーで得点が入るケースが多い。勝利を追えば追うほどミスに対する指導者の指導が、残酷なほどに子供たちを傷つける。本来子供達にはミスを恐れずチャレンジする事を教えなければいけない。それを失敗ばかり責めてたら子供達もやる気を失ってしまう。「野球を行う環境が減っている問題」「失敗で点が入るルールの改善」「指導者の指導の問題」などの改善点をどのようにして解決していくか。その点は野球界全体の問題として捉えるべきであろう。今まさに野球界はJリーグの様な一つの組織にまとまりこうした問題を野球界全体で解決していくべきだ。
これはある意味トップリーグであるプロ野球の課題でもある。ある球団のアカデミーは野球を指導するではなく、野球を楽しむ事を目的に事業展開しているらしい。とにかく試合をやっているときいた。ランナー2塁から何点入るかを競うだけ。私が子供の頃公園でやっていた野球をやっているだけだ。ゆえに30箇所でアカデミーは運営されているらしい。なので野球の経験さえあれば女の子も指導者に加わりながら、浅く広く野球を普及させる(ジャイアンツファンを増やすことにも繋がる)ことを行っている。
別の球団のアカデミーは技術を教えようとする。もちろんプロ野球選手になりたいという親子の夢を叶えさせる事を目的とすれば、元プロ野球選手の丁寧な指導を売りとするアカデミーを運営することもありだ。しかし、3~5箇所で行うこうしたサービスがどれほどの売上に繋がるか、また野球普及に繋がるか、またトップリーグにどの程度の好影響を生むか未知数である。孫さんの鮭のふ化論によると、メスのサケは2000~3000の卵を生む。サケは生まれた川に戻ってくる性質がある。生まれた川に戻ってくるのはざっと平均するとオスとメスが1匹ずつになるはずだという。この3000個の卵から川に戻てくるメスとオスの1匹ずつを見つけることが出来るか?と言われると不可能であろう。プロ野球選手を「作る」作業はその1匹を見つける作業と同じと言えないだろうか。そうであれば、我々のアカデミーの存在は、大谷選手の様な素晴らしい卵を生んでもらうため(野球界を存続させるため)に、3000の卵を永遠と生み続ける体制作りをしていくことを目的にするべきである。これが1000とか500に減ることは絶対に避けなければならない。もちろんプロ養成所の下部組織も必要であるが、広く浅くの競技人口を増やすことも並行して行って欲しいというのが私の願いだ。
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